少し前から妙な視線を感じると、夏野はいぶかしんでいた。そんなある日、留守にしている間に、何者かがセキュリティも完璧な、夏野の部屋に忍び込み本を一冊置いていった。それは偶然にも桜に薦められて買ったばかりの本。長編小説大賞審査員特別賞を受賞した、平安堂の新人・藤巻蛍の本、『蛍星恋話』であった。何故、この本が......。
日本刀に槍、包丁、脇差し......有りと有らゆる刃物を集めた刃物の聖地――はもの荘。その趣のある老舗旅館で一行を出迎えたのは、大家さんに瓜二つの女将。切れ味の鈍くなった愛ハサミのハサ次郎を砥ぎに、はるばるこの地にやってきた夏野だったが、彼女には密かに別の目的があった。
また事件!? 夏野のブラジャーが無くなった。まさか着けていたとは......。鈴菜を呼び出し、マンション内を大捜索。部屋にも無い、スポーツジムにも無い。さりげなく夏野の注意を逸らし、捜索から脱した和人は部屋に戻り、心置きなく読書を再開。すると寝床から出てきたのは、ペラペラのブラジャーが姿を現した!!
本田書店のピンチ!? 和人にとって思い入れのある特別な店、本田書店。その店主・本田文夫は確かに、商売下手で人が良い。だけど倒産に夜逃げなんてことが......ないとは言えない。心配になった和人は、愛用のリュックを背負って本田書店の様子を調べに行くのだが、そこで家を飛び出した本田弥生に捕まり、彼女の家出に巻き込まれるのであった。
和人を追いかけて、マンションの窓を蹴破って追いかけてきた円香。そこで明かされる夏野の正体。彼女は円香にとって兄を奪ったも同然の相手――秋山忍。夏野は言葉の届かない和人に代わって、兄の想いを伝えようとするが、再び円香は和人を抱え窓から夜の街へと飛び出すのであった。